494 遺産分割協議書どおりの代償金が支払われていなかった事例
事案の概要
・Xが当事務所依頼者、Yが遺産分割の相手方、Aが被相続人
・●は、相続人、被相続人ではなく、既に死亡している人、
・○は、相続人、被相続人ではなく、生存している人
・横線は婚姻関係を示し、縦線は親子関係を示す(実線が実親子、点線が養親子)
- ①
- 被相続人Aが亡くなった。相続人は、YとX1~3。
- ②
- YとX1~3は、遺産分割協議書を作成。遺産分割協議書には、YがAの遺産をすべて取得し、代わりに、X1~3に対して、それぞれ870万円の代償金を支払うと記載されていた。
- ③
- その後、X1~3は、その遺産分割協議書の内容どおり、それぞれ870万円を取得したことを前提に相続税を支払ったものの、相続税を支払った後に、YからX1~3に支払われた代償金の額は約790万円で、1人あたり約80万円減額されたものであった。
- ④
- 減額された約80万円×3人分、合計約240万円をYに請求すべく受任。
問題になった点と、当事務所における事件処理
(1)問題になった点
- ①
- X1~3が、遺産分割協議書の原本も写しも有しておらず、その記載内容を確認することができなかった点及び
- ②
- Yから、遺産の評価が下落したときには代償金を減額するという内容の合意がYとX1~3の間でなされていたのか否か
という点が問題になりました。
(2)受任後の処理と結果
①の遺産分割協議書については、Yが取得した不動産の登記をするために、法務局に写しを提出していたことから、これを閲覧するという方法をとり、内容の確認をすることができました。
他方、②は、遺産分割協議書にはそのような記載がないことから、証拠上、代償金減額の合意は認められないと主張し、結果、そのような合意が存在しないことを前提とした和解をすることができ、早期解決に至ることができました。
以上