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よくわかる相続講座

寄与分の控除とは?

特別受益と並んで遺産分割のときに争われることが多いのが、「寄与分の控除」と言われる制度です。
この動画では、
 ・そもそも「寄与分の控除」とは、どのような制度なのか?
 ・「寄与分の控除」が、遺産分割にどのような影響を及ぼすのか?
について説明をしています。

実際に寄与分を考慮して遺産配分を考えるときには、「何が寄与分にあたるのか?」と同じく、この動画で説明している内容を理解することが必要になるので、
「何が寄与分に当たるのか?」と併せてご参照下さい。

動画編

テキスト編

こんにちは。ロウタス法律事務所の弁護士の高橋です。今回は寄与分の控除という制度について説明をさせて頂きます。

(0:14~4:43)
この寄与分の控除という制度なんですが、以前お話しした特別受益の持戻しという制度がありましたよね。これと比較して頂くと、どういった制度なのかというのがよくご理解頂けると思います。特別受益の持戻し。この2つ、やることは全く真逆なんですが同じような働きをします。何をするかというと、みなし遺産、遺産そのものじゃないんだけど遺産というようにみなして遺産分けの時に考慮するという財産の金額を「みなし遺産」と言わせていただきますが、これを増やしたり減らしたりするという働きを(寄与分の控除と特別受益の持戻し)どちらもやります。何が違うかというと、特別受益の持戻しというのはみなし遺産を増やします。寄与分の控除というのはみなし遺産を減らします。じゃあ実際にどういうことかというのを図で説明します。
まず遺産分割というものは、本来であれば遺産というものにそれぞれの法定相続人の法定相続分を掛け合わせると、その人のもらう財産がどれくらいなのかというのが出てくるというのが1番基本のルールです。ですが、この遺産というものは亡くなった方が亡くなった瞬間の財産というのを基準にします。つまり生前のお金の動きというのは考慮しません。ただ生前のお金の動きを考慮しないと、相続人間で不公平になってしまうんですね。法定相続分の所で説明しましたが、例えばこんな1例を考えてみましょう。
お父さんがいます。お母さんがいます。お母様はお父様より先に亡くなっていて、今回お父さんが亡くなってこの人が被相続人だよと。で、子供が2人で相続するよという話があったとしましょう。

寄与分の控除とは?

法律では、法定相続分の定め方では、子供というのは男であろうと女であろうと、お兄さんであろうと弟妹であろうと、そういった年齢だとか性別に関係なく平等に扱います。頭割り平等です。ところがですよ。例えばこちらのお子さんが、お父様が亡くなる前に生前贈与をもらっていたとします。もしこの生前贈与が無かったらですよ、遺産がその分増えていたはずだというように考えることができますよね。そうすると生前贈与がなかったら本当はこの青い部分を足したこの金額を2で割ってもらうことができたのに、純粋な遺産だけをやっていると、生前贈与はこちらのお子さんだけがもらいきり、こちらのお子さんはちょっと取り分が少なくなるという不公平なことになる。

寄与分の控除とは?

それでどうしたかというと、この生前贈与のうちですね、特別受益ですよと、こういうふうにいわれるものは持戻しといって遺産に足されます。結果みなし遺産ですね。純粋な遺産に持戻された特別受益がついて増えるということになります。みなし遺産が増えます。

寄与分の控除とは?

(4:44~6:13)
じゃあ寄与分の控除とは何だ?相続人、財産をもらう人が被相続人の財産、遺産に寄与した時にそれを引っこ抜きましょうという話です。これは逆にお金の流れとして、例えばこういったお金の流れがあったとします。こちらのお子さんが親に、例えばお金をあげた。まああまりないかもしれませんが、そういったことがあって、親の遺産を増やしましたというような行為をしていたとします。そうすると、遺産というものは亡くなった瞬間に、この場合だと亡くなった人、お父さんの名義がついている財産を遺産といいますから、例えばこのお子さんが親にあげた財産というのは見た目上、親の預金に入ってしまっているとこれ遺産だ、分けなきゃいけないといったことになってしまいそうです。でもそういうことをするとどうなるか。このお子さんからしてみれば、親にあげるのはいいと。でも自分が親にあげた財産が、元はこれが自分のものなのに、遺産として兄弟と分けるのは不公平じゃないかというふうに考えることができます。そうするとこれは引っこ抜きます。これが寄与分の控除という制度です。

寄与分の控除とは?

(6:14~9:09)
だから結局どうなるかというと、何に法定相続分をかけるか、このみなし遺産というものなんですが、これは何かというと結局、遺産に特別受益を増やしてそこから寄与分を引いたもの。これが法定相続分をかける対象になりますよと。で、実際にはどうするかというと、このみなし遺産。ここに法定相続分をかけるんですね。みなし遺産にその人の法定相続分をかけます。さらに、すでに特別受益としてもらっている人は、みなし遺産に法定相続分をかけた分から特別受益分を引かれます。相続人の中で、自分の財産を親にあげるなどして寄与した人は、この遺産から控除された寄与分をもらいます。こういう調整をすることによって、それぞれ、例えばこの件でいえばお子さんたち2人は実際どれだけもらえるんだろうというような、それぞれの相続分が出てきます。

寄与分の控除とは?

で、実際にはこのみなし遺産という形で特別受益と寄与分を調整した相続分に従ってこの黒い部分、実際に残っている遺産を分けると。こういう作業をやります。ですので寄与分と特別受益というのはセットにして理解してください。どちらも生前の財産の移転、もしそういう行為がなかったら遺産が増えていたはずだ、減ったはずだというものを遺産から引いたり足したりして、生前の部分を含めて、相続人が公平に遺産を取得できるようにというふうに調整する制度です。

(9:10~)
ということで、寄与分の控除というのはどんな制度でしょうという話をさせて頂きました。ここで特別受益を持戻すというものと寄与分の控除というのは、対にして考えるとわかりやすいですよという話をしました。

寄与分の控除とは?

どちらも相続分、これは法定相続分ではなくて、法定相続分を前提として具体的相続分、実際に存在する遺産をどういうふうに分けようかというのを決める時に使うものだっていう話はしましたが、この具体的相続分を決めるための制度ということで両者(寄与分・特別受益)は同じなんですが、手続がちょっと違います。何を気をつけて頂きたいかというと、基本的には1点だけです。特別受益というのは遺産分割調停や遺産分割の審判の中に含まれるんですけど、法律が寄与分を定めるっていう手続を遺産分割の手続と別に決めてるもんですから、寄与分の控除をしてほしいって人は遺産分割の調停を申し立てるだけで安心しないで、別途寄与分を決めて下さいねっていう調停をしてください。

寄与分の控除とは?

また、遺産分割が審判に移りましたという段階、どちらでもですね、今言ったように調停の段階でも、寄与分を決めて下さいという調停を遺産分割と別途してください。それから遺産分割の調停が不調になって審判にいきましたと。その時も寄与分を決める審判をやってくださいということを別途裁判所に申し立てをしないと、寄与分無視されてしまって、この審判の時に裁判所が判断してくれません。ということなので、寄与分の控除をしてほしいという人は必ず別途手続を忘れないようにしてください。これだけは特別受益と違うところなので、うっかり手続するのを忘れてしまって認めてもらえなかったということのないように注意してください。以上で、今回は寄与分の控除というのはどういう制度だったのか、特別受益とセットになるんですけどちょっと手続が違う、寄与分はひと手間いりますよということを注意して頂きたいという話でした。ご静聴ありがとうございました。

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