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よくわかる相続講座

何が特別受益にあたるのか?

「特別受益の持戻し」は多くの事例で争点となり、しかも当事者が激しく争います。
言い換えると、当事者間では解決が難しく、裁判所に持ち込まれることが多いのが特別受益の問題です。
そのため、これから遺産分割協議を行う方の中で、特別受益を問題にしようとする方は、本動画を参考にして、「どうして揉めるのか」という背景をご理解いただき、今後の交渉の心構えとして参考にしていただければと思います。

動画編

テキスト編

こんにちは。ロウタス法律事務所の弁護士の高橋です。今日は特別受益の持戻しという制度について、何故ここが遺産分割の時に非常によく争いになるのかということを説明させていただきます。

(0:20~0:59)
何故私がこんなことを説明するかというと、特別受益の持戻しという制度を知っていても、遺産分割というのは相手があってのことなんですね。遺産分割をまとめるためには他の法定相続人全員の印鑑をもらわなければいけない。そうすると、そういった争いごとをする場合においてどこで揉めるんだろうというのを知っておかないと、相手を説得するというのもポイントを外すかもしれないし、そもそも遺産分割をする前に「ああ、こういうところで揉めるんだ。」と揉めそうなところがわかっていれば、そこについて注意しながら遺産分割の話を進めるということもできます。

(1:00~4:15)
ということで何故ここがこんなに問題になるかという話を1つ例をあげて話をしますが、例えばですね、特別受益の持戻しとして持ち出されるものの中に、条文にも書いてますが、婚姻の費用としての贈与というものが入っています。この特別受益の持戻しなんですが、もらった人がですね、特別受益を受けた人、生前贈与を受けた人が法定相続人である場合には、期間制限がありません。

何が特別受益にあたるのか?

例えば親が80歳で亡くなりました。相続人の子供が60歳です。40年前の20歳の頃の結婚の費用について特別受益だというふうに主張することができるんです。じゃあそうするとどうなるか?という話なんですが、どこまでも遡れますよ。婚姻であるだとか、あと例えば学費ですね。お姉さんだけ大学に行かせてもらったとかですね、お姉さんだけ私立だったみたいな話ですね。そういったことを持ち出してもかまいませんが、こういうのを持ち出すとどういうことになるかというと、非常に昔の話なので証拠がないか、非常に部分的にしか証拠が残っていないんですね。そういったことが多い。あとは親子間での話ですから、よく問題になるのは、特別受益が。親子間で何かしら親が子に援助をするという時に、じゃあ通帳で、振込で援助をする、または領収書を取っておく、契約書を交わすなんてことはしませんよね。取引関係、会社と会社の取引だとかそういった関係であれば、相手との間に親子ほどの強い信頼関係はありませんから、相手と揉めても大丈夫なように証拠を残そうという話になりますけど、他人じゃなくて家族ですから、基本的に信頼している人間同士のお金のやり取りなので、元々そもそも証拠を作らない。古いっていう話と、信頼関係を前提としてますので証拠を作らない。こういったことが原因となって証拠がほとんどありません、部分的にしかありませんということになってくる。

何が特別受益にあたるのか?

(4:16~9:35)
そうするとどういうことになるかというと、そもそも親が亡くなって子供たちABCが争っている時に、何十年か前に、例えばBさんが援助を受けたのか受けてないのか、贈与を受けたのか受けてないのかということについて証拠がないので、例えばBさんが自分の取り分を減らしたくないからといって知らないと言ったりだとか、あとは本当に忘れていたというふうに、知らないというふうに言ったりすると、それを主張したいAさんとしては証拠がないから困ったなと。でも絶対にもらっているはずと、おかしいという話になって非常に感情的な対立が激しくなるということがあります。

何が特別受益にあたるのか?

で、後はまたどうして争いになるかという話なんですが、どこまで遡ってもいいという話をしました。また、婚姻であるだとか、養子縁組のための生前贈与というのは何のことかわかるのですが、生計の資本のための贈与も特別受益に含まれるということになると、これなんですか?という話になります。例えば毎月生活費の足しにお金をもらっていたというのは当然これに当たるんでしょうけど、先ほど言ったように学費を出してもらったっていうのは生計の資本なんだろうかどうなんだろうかとかですね、言いだすとキリがないんですね。で、前回もご説明したように金銭であれば特別受益かどうかなんていう明確なルールもありませんので、財産の種類による明確なルールは。じゃあ使い道はどうかというと生計の資本という、もうなんだかよく訳のわからないような曖昧な基準しかありませんので、どういう話になるのかというと、ABCの3兄弟で遺産分割で争っている時に、AさんがBさんに「あなたこれだけもらったよね。」と過去の話をすると、そうするとですね、「そんなことを言うんだったらAさんだってこれをもらっただろ。」と言ってですね、そうすると言われたAさんも、「俺も今まで黙っていたけど、そんなこと言うんだったらこれだけじゃなくてこれも遺産分割で清算しなきゃいけないだろ。」って言って、もうとにかくとことん、もうキリがないくらい、これでもかこれでもかってくらい続くんですね。

何が特別受益にあたるのか?

そうして遺産分割が非常に長引く、揉めるということになります。なのでこの特別受益の持戻しっていう制度はですね、例えば自分の取得する遺産額を増やそうと思うと、他の兄弟とかの特別受益を持戻しを主張するっていうのは非常に有効なんですが、言うと色々と言い返されますよという危険があるということを理解して、この特別受益の持戻しというのを遺産分割の時に言うか言わないかというときに、大抵誰かが言い始めると言われた方もじゃあ自分もっていってあれこれ考えて言います。で、そういう時にまた揉めるのがですね、じゃあAさんがどうしてBさんが生前贈与を親から受けたかっていうその根拠がですね、誰かからの又聞きだったりするんですよね。親戚の方からね、「いやいや、Aさんあなた知らなくてかわいそうだから教えてあげるけど、実はBさんこっそりと親から毎月お金もらってたんだよ。」というふうに聞いて、でもそれが本当かどうかわからない。で、もしそれが、Aさんにそういった情報を教えた親戚なんかの人もよくわからないで人からの噂で言ってるとかですね、きっとこの人(Bさん)羽振りがいいから親から援助してもらってるに違いないという推測でものを言うってことになると、もしそれが違うってことになるとやっぱりBさんも怒りますよね。じゃあ徹底的に戦うぞという話になるので、まあもちろんですね、すでに兄弟間の信頼関係が失われて、もうこの際ですね、法律上自分が取れるものはしっかりと取ってくれっていう話であれば、この特別受益の持戻しっていうのを主張するのは有効かと思うんですけど、まだ兄弟間の信頼関係が失われていないという時にですね、やたらめったらこの特別受益の持戻しの話をしてしまうと、遺産の取り分としては若干増えるかもしれませんがお互いに言い合いになってですね、非常に兄弟間の信頼関係が失われるということがありますので、こういうのを使う時には気をつけて頂きたいというのがまず1点。

(9:36~11:41)
もう1つは、特別受益の持戻しというのは自分が言うと相手に言い返される、それから古い話なので相手も憶えていないかもしれないし知らないと言われるかもしれない、じゃあそういう時に備えてどうするかというと、どうやって立証するかというのも考えた上で特別受益の持戻というのを主張するか主張しないかということを検討して頂きたいということになります。どうやって主張するかという話でいうと、相手が知らないっていうふうに言った場合にはこちらで出さなきゃいけない。例えばお金の動き。そもそも親から自分の兄弟にお金が動いているんだろうか。お金じゃなくて不動産でもいいです。財産が動いているんだろうか。例えば、親の預金口座からお金が動いていたとしてもね、それをもらったんだろうかという話もでてくる。

何が特別受益にあたるのか?

ということになるので、先ほども話しましたが特別受益の持戻しというのは非常に古い話まで出せますので、1度言い始めると必ず相手から言い返されるということで非常に争いが激化してしまうので、使う時には慎重に使って頂きたい。ということでどうやって立証するか、相手が知らないと言っても「ほら、これであるじゃないか。」というふうにちゃんと根拠を確認してから主張するべきじゃないかなというふうに考えております。
ということで、特別受益の持戻しというのを使う時に、これを出すと非常に争いになりやすいのでよく気をつけて頂きたいというのが今回の話になります。ご静聴ありがとうございました。

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